ありがとうの輪

保育室のお友だちにKちゃんという3歳の女の子がいます。

Kちゃんはよく「ありがとう」と言います。

そう聞くと、「なぁんだ、ありがとうなんて誰でも言うよ」と思うことでしょう。

でも、Kちゃんの「ありがとう」は、自然体の「ありがとう」なのです。

 

Kちゃんは、今でこそにこにこ笑顔で登園してくれていますが

入園間もない頃は、大好きなお母さんと離れることで不安な気持ちと

保育室の生活リズムに合わせることでいっぱいいっぱいでした。

そんなKちゃんも毎日の中で少しづつ慣れていき、

お友だちやスタッフと楽しく過ごせるようになっていきました。

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そんな中スタッフは、Kちゃんからよく聞く言葉に気づきました。

その言葉が「ありがとう」でした。

保育室に慣れていく中で、Kちゃんは何度「ありがとう」を言ったことでしょう。

着換えをちょっぴり手伝ったら「ありがとう」

髪の毛に糸くずが付いていたので取ってあげたら「ありがとう」

おもちゃを渡したら「ありがとう」

昼食を少しお手伝いしたら「ありがとう」

もう数え切れません。一番びっくりしたエピソードはおやつの時の話です。

飲み物を注いだコップをみんなに配ります。

その時、隣のお友だちと楽しげに夢中になって会話をしていたKちゃん。

配っている私は「Kちゃんは会話しているからコップを置くことに気づかないかなぁ」と

思いつつKちゃんの前にそっとコップを置きました。すると、自分のコップが目の前に

置かれると同時にKちゃんは「ありがとう」と言うのです。

私は慌てて「どういたしまして」と返事をするのがやっとでした。

お友だちと会話していても、目はしっかりとスタッフの動きを見ているのですよね。

繰り返して言いますがKちゃんは3歳のお子さんです。

大人でもここまで心配りができるって難しいのに、なんだか感心してしまいました。

お母さんもお仕事で疲れていたとしても、お仕着せではない「ありがとう」の言葉で

きっと癒されていることでしょう。

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そんなKちゃんと過ごしているお友だちにも少しずつ「ありがとう」の輪が広がっています。

聞いていて心地いい言葉ってたくさんありますよね。

まさしくこの「ありがとう」を自然体で言えるお子さんが

保育室でも増えているってステキなことだなぁと思います。

Kちゃんの「ありがとう」の輪が広がっていくのと同じように

春の訪れも日に日に感じるようになりました。

来月から、幼稚園や保育園に進級するお友だちと残り少ない日々を

楽しんでいきたいです。

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森下